ジェルネイルが大はやりだ。
若いころ盛んに塗ったマニキュアが大進歩を
遂げて、そこに別の国が出現しているようだ。
30歳代の友人はネイル大好きで、一センチあるかと思うほど高く、
バラの花を盛り上げて現れる。
おばさんたちは、あれで、仕事の邪魔にならないのかしら、とか
炊事はどうするのかしらと陰口をきくが、
カノジョは実家に寄生する、気ままなお嬢様だ。
おばさんのやっかみや、上司の皮肉など、どこ吹く風と受け流す。
カノジョによれば、ムカついたとき、落ち込んだとき、指先のファンタジーを
眺めて、心を鎮め、また仕事にまい進するのだそうだ。
若いときバラ色に塗った指先をうっとりと眺め、
シンデレラ気分で白馬の王子様を期待したものだが、
現代女性はそんなぬるいことは言わない。
ネイルもビジネス社会で闘うためのアイテムらしい。
カノジョに触発されたわけではないが、
知人がネイルをして現れた。
紫を基調にして銀の砂を撒いたような、ジャパネスク調の、
年齢にふさわしい美しいものだ。
1センチも盛り上がったようなネイルは雑事の多い主婦には不向きかだが、
こんなにしっとり落ち着いたデザインなら悪くない。
待ち合わせた喫茶店でコーヒーカップを持つ手元に見とれた。
きれいでしょと彼女は指を伸ばす。
年齢相応のシワの寄った指の先に、
紫のネイルが、別世界の入り口のように輝いている。
女はいつまでも夢をみる。
おばさんだって美しいジェルネイルをしていいんです。
わたしだって、彼女以上の素敵なネイルしてもらおうと
ネットでNAIL STATIONをさがして夢をみる